発見
ATLASサーベイが太陽系に進入する高速移動天体を発見
チリにある小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)望遠鏡が、太陽から4.5 AU離れた場所で異常な高速移動天体を検出し、驚異的な速度で太陽系を移動していることが判明しました。
歴史的な発見
2025年7月1日、チリのリオ・ウルタド(観測所コードW68)にあるNASA資金提供のATLAS(小惑星地球衝突最終警報システム)サーベイ望遠鏡を使用していた天文学者たちが、注目すべき発見をしました。彼らは視等級18で宇宙を移動する新しい天体を検出し、太陽から約4.51 AU(6億7500万km)、地球から3.50 AU(5億2400万km)の位置にありました。
当初A11pl3Zと指定されたこの天体は、太陽に対して61 km/s(時速13万7000マイル)という前例のない速度で移動しており、天文学コミュニティの注目を即座に集めました。
初期観測
発見チームはいくつかの異常な特徴に気づきました:
- 典型的な太陽系天体と比較して極めて高い速度
- 太陽に束縛されていないことを示唆する異常な軌道
- へび座尾部といて座の境界に位置
- 恒星間空間から内部太陽系に進入中
事前発見画像
発見後、天文学者たちはアーカイブデータを検索し、2025年5月7日の最古の事前発見画像を発見しました。これにより観測アークが延長され、天文学者たちは天体の軌跡と起源をよりよく理解することができました。
次の展開
この発見は国際的な観測キャンペーンを引き起こしました。ハッブル宇宙望遠鏡、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、ジェミニやVLTなどの地上施設を含む世界中の主要天文台が、この稀な訪問者を研究するために動員されています。
予備的な軌道計算により、この天体は双曲線軌道上にあることが示唆されています。これは、1I/'Oumuamua(2017年)と2I/Borisov(2019年)に続く、太陽系を通過する3番目の確認済み恒星間天体となることを意味します。
重要データ
- 発見日: 2025年7月1日
- 発見場所: ATLAS-チリ、リオ・ウルタド
- 初期指定: A11pl3Z
- 太陽からの距離: 4.51 AU(6億7500万km)
- 速度: 太陽に対して61 km/s
- 等級: 18(望遠鏡でのみ見える)